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Uber、乗り捨てOKな電動自転車のシェアサービス「JUMP」をロンドンで開始

ライドシェアのUberがイギリスでのビジネス拡大に向けて再び動き出したようです。Uberはこの度、ロンドンでドックレス型のバイクシェアサービス「JUMP」を開始しました。

乗り捨て可能なバイクシェア「JUMP」

JUMPとはUberが2018年に買収した電動自転車(e-Bike)のシェアサービス企業です。特徴は「ドックレス」とも言われるように、専用の自転車ドック(ハブ、ステーションとも)でなくとも自転車の利用開始や返却が行える点です。目的地に到着したら文字通り「乗り捨て」てしまえば良いのです。

乗り捨てられた自転車を別の人が利用することも可能です。電動自転車ですから当然ながら充電ドック自体は存在し、充電ドックに返却したユーザはリワード(報酬)として利用料金が若干安くなります。「乗り降りの自由」「リワード」により、今までのレンタサイクルには無かったエコシステムが実現された訳です。

 JUMPはアメリカとカナダを中心にサービスが展開されており、欧州ではこれまでベルリン(ドイツ)、ブリュッセル(ベルギー)、リスボンポルトガル)、マドリッド(スペイン)、パリ(フランス)でサービスが提供されていたのですが、新たにロンドン(イギリス)でもサービスが開始されました。

Uber、イギリス市場へ再挑戦

JUMPのサービスはロンドンの特別区であるイズリントン自治区で試験的に導入されます。イズリントン自治区は32あるロンドンの自治区の中でも2番目に小さい自治区とのこと。導入する自転車の数は350台であり、状況によっては数か月以内にロンドンの他の地域にも事業を拡大させる予定です。

 ここ1, 2年のUberは幹部のスキャンダルなどコーポレート・ガバナンスの問題が度々指摘されており、その影響はイギリス市場の攻略にも影響を与えていました。Uberは2017年9月にロンドン交通局(TfL: Transport for London)より適切な民間レンタカー会社ではないと判定されたことを受けていました。治安判事裁判所での裁判の末、2018年6月に15か月間という期間限定での営業免許の交付を受けており、今まさにイギリス市場での事業展開の立て直しを行っている最中です。

自転車革命を掲げるロンドン

ロンドンは2010年頃から"Cycling Revolution(自転車革命)"を掲げており「環境負荷の軽減」「健康対策」「交通渋滞の緩和」の為に自転車の活用を都市交通計画に盛り込んでいます。

以降のドキュメント(PDF)は2010年および2013年のものと古いものですが、ロンドン市が描く自転車による都市交通のビジョンについて纏められたものです。

当然ながら既に様々なプレーヤーが参入しています。ロンドン交通局と自転車小売業協会(ACT: The Association of Cycle Traders)が運営する電動自転車ポータルサイトe-bikes londonには様々な販売店やレンタサイクル事業者が掲載されています。

 

半年先行するLime(ライム)

ドックレス型の電動自転車のシェアサービスとしては「Lime」が約半年前となる2018年12月にサービスを開始しています。しばらくは両者がこの市場を盛り上げていくことでしょう。

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