ロシアの極超音速兵器
国家間のパワーバランスは経済力と軍事力の上で成り立っており、軍事技術の開発は国家の存続と成長において無くてはならないものとされています。2018年12月にロシアはプーチン大統領の見学のもと、極超音速ミサイル - 正確には、従来のICBM(大陸弾道間ミサイル)にも搭載可能な極超音滑空弾頭 - の発射実験を行いました。プーチン大統領が「迎撃は不可能」とまで自信を見せるこの兵器「アバンガルド」は2019年にも実戦配備される見通しであり、4月には試験が最終段階にある旨の報道も出ています。
米国のミサイル防衛計画見直しとIFN離脱
当然ながらアメリカはこれに対抗し1月にミサイル防衛計画の見直し(MDR: Missle Defence Review)の発表を行い、2月には中距離核戦力(INF)全廃条約の離脱を表明するなど、米露の軍事的な緊張が高まっています。
米軍事企業のレーザー兵器開発
アメリカの軍需製品メーカーであるレイセオンはレーザーによる極超音速ミサイルの迎撃を目指している事をPRするかのような投稿を5月21日ツイッターにしていました。
What can catch a missile moving many times the speed of sound? An interceptor that's as fast as light. See how we're hurtling toward lasers that can stop hypersonic missiles: https://t.co/LqZ8YeBvOU pic.twitter.com/7RyZqy94Q0
— Raytheon (@Raytheon) May 20, 2019
ただしこの動画、2018年の10月にYouTubeに公開していた動画を短く編集したものの様ですので、ツイッターへの投稿は「取り組みを改めてアピールするため」というのが恐らく狙いでしょう。
極超音速の飛翔体に対抗するレーザ兵器の実現にはより高出力で正確なレーザーの開発が必要です。当然ながら具体的な開発状況は機密とされていますが、また極超音速平気に商用運用で対抗できるレベルには達していないものと見られています。
なお、これは極超音速兵器とは別の話になりますが、レーザ兵器によるミサイル防衛は他分野でも開発が進められています。米空軍研究所は先日、自己防衛高エネルギーレーザー実証プログラム(SHiELD: Self-Protect High Energy Laser Demonstrator)の一環でロッキード・マーティン社と共同開発を行っているレーザーによる戦闘機向けのミサイル迎撃システムの初期実験を行いました。空中に向けて発射されたミサイルを地上の実験装置(DLWS: Demonstrator Laser Weapon System)から射出したレーザーを用いて撃墜することに成功しています。同社は装置の小型化を進め、2021年には戦闘機への搭載を行うことを目指しています。