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シーメンス、トラック輸送のゼロ・エミッション化に向けてドイツのアウトバーンでeHighwayの実証実験を本格始動

世界規模で急速に進むEVシフト

全世界で注目が進むEV(電気自動車)へのシフトですが、それは何も自家用車に限った話ではありません。我々の生活において物資の輸送は重要な経済活動の一つであり、その手段として鉄道・航空機・船舶そしてトラックを利用してます。こうした経済活動を通して排出される温室効果ガスなどの廃棄物を出さない「ゼロ・エミッション」に向けて、ドイツが本腰を入れ始めました。

「eハイウェイ」と名付けられ、約10kmに渡ってアウトバーンに設置されたこのシステムは、電気モーターとディーゼルエンジンを搭載したハイブリッドの専用トラックがトロリーバスのようにパンタグラフを用いて架線から電気の供給を受けながら走行する仕組みになっています。


シーメンス社がYouTubeで公開している動画を見ると、港と都市部のあいだの輸送をeハイウェイとハイブリッド・トラックを利用して行う構想をうかがい知ることができます。

トロリーバスをイメージすると、パンタグラフが外れるといったトラブルを想像する方もいらっしゃるかもしれませんが、動画内でも触れられているようにセンサーとアクチュエータによる「アクティブ・パンタグラフの制御により高速走行時でも安定した電力供給が行えるとされています。また、ハイブリッド車であることからeハイウェイシステムが無い場所を走行する際や、万が一電力供給にトラブルが合った場合でも走行することが可能です。

ドイツの温室効果ガス削減目標

なお、ドイツ政府は温室効果ガスの削減目標を1990年と比較して2020年までに40%、2030年までに55%、2050年までに95%削減すると定めており、このeハイウェイも温室効果ガスの削減に向けた一手です。ヨーロッパは陸続きの国がほとんどですから、陸路でのエネルギー効率をいかに高めるかが環境への取り組みにおけるカギであり、他の国にもこうした動きは広まっていくでしょう。

路面からのワイヤレス給電にも注目 

最後に少しだけこぼれ話。こうした長距離移動を想定した電気自動車向けの電力供給インフラとしては架線からの供給の他に道路側からワイヤレスで電力を供給する発想のものもあります(レースゲームのF-ZEROを思い出します)。ここ数年ですと、イスラエルのElectRoadが注目されています。

イスラエルもテクノロジー業界を占う上で外せない国です。今後、取り上げていきます。

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